ロンドンの街角でスナップ写真を撮ったことがある。犬と散歩しているカップルがちょうど花屋の店先を通りがかった。シャッターチャンス!木漏れ日の加減もちょうどいい。背後からそっとシャッターを切る。気に入ったのでポスターほどのサイズに大きく伸ばしてフレームに収めた。さらにポストカードも作り個展も行った。
ところで、絵になる被写体は何か?と問うた時、街並みの風景に溶け込んで一枚の絵のようにしっくり馴染む被写体はお年寄りだ。英国のロンドンでも日本の下田でも、「今、ここ」と感じた瞬間にシャッターを押す。さりげない笑顔と年季の入った物腰はふんわりとして揺るぎない。「粋」とはこう言うことなのだと人生の先輩に教えられる。
ノートルダム大聖堂のガーゴイル
動物や子供も好きだ。植物も。オックスフォードで偶然見つけたガーゴイルも面白かった。沖縄で言うシーサーみたいな存在で、建造物の上部で四方に睨みを利かせている。映画などにも登場するガーゴイル。なかなかお洒落で雰囲気がある。夢中になって撮っていると時間を忘れ癒される。難しい撮影技術は知らず、ただひたすら本能のまま撮る。なるべく「素」を撮りたいと思う。
チンドン屋さんに「お化粧するところを撮らせてください。」と頼んだことがある。断られたが、ぶしつけなことをお願いしたものだと今になると恥ずかしい。支度が終わった一行を河原で撮影した。セルロイドのお人形を乳母車に載せて進んでいく。ドジョウすくいもにぎやかに・・・何とも言えないノスタルジックで不思議な世界が広がった。
ある時は恐竜のオブジェだったり、またある時は猫の親子だったり・・・撮りたい時に撮りたいものを撮る。振り返ってみると、自分が撮ったのだろうかと人ごとのように思えることがある。その世界は意外とシンプルで心地よい。
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