富士生まれの英語かるた/盲学校で活躍
富士市生まれの「ことわざ英語かるた」が、広島市で視覚に障害のある生徒も利用できるようになった。英語で読まれたことわざの絵札を取り合うかるたに、広島県立盲学校の教師が注目。広島大学教育学部との共同研究で、絵札や文字を大きくするなどして、教材化した。新しいかるたは2月2日に同盲学校で開かれる研究授業で公開される。
かるたは98年、富士市宮島の英語塾経営匂坂桂子さん(46)が「子どもが英語に親しみ、力をつけるにはまず慣れること」と作った。日々の生活にかかわることわざや名言などから72を選び、絵札は知り合いの創作人形作家松田光代さん(48)が描いた。
「Practice makes perfect」(習うより慣れろ)。「Time flies like an arrow」(光陰矢のごとし)など、読み上げられた英語から、英語が書かれた絵札をかるたのように拾い合う。「リズミカルで覚えやすい」「楽しく遊びながら聴く力もつく」などと、県内外に輪が広がっている。
06年2月、英語研修会でかるたを目にした同盲学校の中川紀美子高等部教諭(47)が「目が不自由でも十分に楽しめる。ことわざを覚えることで英語表現、異文化の理解に役立つ」と匂坂さんに教材化を提案した。
教材化は、昨年から同盲学校と教材の共同研究を進める広島大の障害児教育学講座(小林秀之・助教授)が担当。4年の藤原佳子さん(22)、河野さやかさん(22)の2人が、障害のない子どもを対象に作られたかるたを、盲学校の児童・生徒に対して同じ教育効果をあげるにはどのようにしたらよいかを検討した。
2人は、中川さんや盲学校の生徒と話し、試行錯誤の末、かるたの大きさをB6判、文字も倍以上に拡大した。絵はスキャナーを使って拡大、色を修正、輪郭の線を加える方法で弱視の生徒にも見やすく、全盲でも利用できるように点字シールも加えた。
2人は「色合いなど難しいことが多かったが、作業は面白かった。全国の学校で使って欲しい」と喜んでいる。
匂坂さんは「視覚障害者が使うことは予想していなかった。とてもうれしい。広島とのすばらしい出会いに感謝している」と話した(洞口和夫)