相模女子大学子ども教育学科で英語遊び指導法の講義を行っている。
保育士や小学校教諭を目指す4年生の学生が対象で、テストを課す代わりに、15回の講義のまとめとして英語遊びを創作してもらう。
児童英語のイベントは、クリスマスよりハロウィンがメイン。10月のハロウィン・パーティーは、『Gingerbread man』の絵本をお題にしている。
ある時、一人の学生が絵巻物の創作を思いつき、グループのメンバー皆で協力し、見事な絵巻物が出来上がった。
アクティビティ後、「実写版ジンジャ―・ブレッドマンは登場しないの?」と問いかけたところ、発案者の学生はきっぱりこう言った。
「世界観が壊れるので、登場しません。」
なるほど・・・世界観ね。これは頼もしいと感じた。学生は演劇部に所属していたので、それなりの世界観を持っていたのだろう。
日本古来の文学作品である絵巻物は、右から左へ展開しながら作品を鑑賞する。しかし、この『Gingerbread man 絵巻』は逆だ。英語なので左から右へストーリーが展開していく。
ご婦人やお百姓さんや犬などが次々にジンジャ―・ブレッドマンを追いかけて行くテンポの速い流れに上手く乗り、なかなかユニークな発想だった。
その後、絵巻物は私がいただいて保管している。彼女曰く、「部屋に置いておくと、母に捨てられてしまうんです。」
小学生であるとか大学生であるとか年齢に関わらず、時折こう言う場面に遭遇する。モノが増えて空間を圧迫しないように、「断捨離」などと言う言葉がもてはやされている。
思い出の品は写真データとして保管すればよい・・・少々寂しい気もするが、子供の人数の多い家庭では日常茶飯事かもしれない。
この絵巻物が気に入ったのでしまっておくのはいささか気が引けた。そこで子ども達の作品を図書館に展示した際、一緒にお披露目することにした。
存在感のある絵巻物がこの展示を一層盛り上げてくれたことは言うまでもない。
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